14.unlimited blade works

体は剣で出来ている。
私と同じで、一度決めたことは曲げられない人。
なのに私の為に自分の考えは抑えて一緒に行動してくれた。
自分は道具だと言っているかのようなその言葉は、初めて聞いたときから不安だった。
あんたと同じにはしないから。
約束したけれど、出来るかどうか分からない。
心のどこかでそうなることを望んでる自分がいることも否定できない。
どうしたらいいんだろう。
私といることで彼に近づいていくのなら、側にいない方がいいのではないかと思ったこともある。
一緒に時計塔に来て、彼は紅茶を入れる腕を上げた。
きっとそのうち同じ紅茶を入れるようになるのだろう。
いくつもある未来の中の一人の彼は、私といることを選択した彼だったのかもしれないと思うと
自分の選択がいけなかったのではないかと悩んだこともある。
でも。
それでも彼は同じ笑顔で言うのだ、大丈夫だよ、と。
それがさらに私を切なくさせることを彼は知らない。
同一人物は同じ時間の中には存在できない。
聖杯があって、英霊となった未来の彼がいたからこその奇跡。
英霊となった彼の時間は消すことは出来ないけれど、今の時間の中でならば…させないようには出来るはず。
剣で出来ていると言った彼の意思は変えられなくとも、孤独な存在になる前に止めようと思う。
彼に、会いたいのは本当。
でも、会わない。
そうじゃなければ私は彼に胸を張って生きていけないから。
似てるけど、同じだけど、違う人。
彼が生きられなかった未来を生かすために、私は彼の側で生きていく。
ただ一人、なんて言わせないために。



短い文章でした。
ちなみにただ一人というのは、詠唱文中の単語を拾ってきたんです。
誰にも理解されないとか寂しい文章が続くので、彼は孤独そのものだったんでしょうね。
個人的にはセイバールート後の士郎君だろうな…と思っています。
ああ、二人のハッピーエンドが見たかった…(沈)