何故?と言うことはもしかして、気づいてる?
「しゃべれないようだが、顔がどうして分かったのかと聞いているので答えよう。君の顔色を見れば一目瞭然だ。生気が失われた顔色だからな」
ああ、そうか。
貧血と言うことは顔色も最悪な色になっているのだろう。
そんな顔色を見て寝てるだけとは考えにくい。
私だって気づく。
「もう少し寝ていれば回復するのかね?」
いつもの貧血なら、回復する。
「多分、ね…」
まだくらくらするけれど、意識ははっきりしているし。
しゃべろうと思えばしゃべれるから、きっと大丈夫だろう。
「ふむ…だが、学校に行くまでには回復できそうには無いな」
今は七時ちょっとすぎ。
このままのんびりと回復を待てば、遅刻する。
「そうね…それは困るわ…」
優等生として、遅刻は困る。
だけど、体調不良なら仕方ないし…休むか。
私が休む決意を固めてアーチャーを見ると、彼はまだ思案しているようだった。
「アーチャー…?」
休むと伝えようと声をかける。
「お願いがあるんだけど」
アーチャーは私の言葉が聞えてないかのように考え込んでいる。
そして。
これほどまでに意地悪そうな笑みがあるのかというような笑みを浮かべた。
背筋に走る悪寒。
貧血で動けない人間捕まえて何しようと言うのだろうか?
「お願いとは、何かね?」
表情がそのままなのが怖い。
「学校でも、士郎の家でもいいんだけど…休むって連絡してくれない?学校に行っても授業受けるだけの体力なさそうだから」
こんな体調で生徒会長や慎二になんてあったりしたら、大打撃だ。
「ふむ、それはいいだろう。了解した」
表情とは違って、答えは普通だった。
もともと学校を休むことに反対してはいなかったから。
むしろ休めといっていたくらいだから、あっさりとしている。
「あとで学校に連絡しておこう。言峰と名乗っておけばいいか?」
「うん、オッケー」
あとで、と言う返事が気になったけど、突っ込むだけの頭の回転は無かった。
「凛、それでも少しは動けないと危険だろう」
家の中にいれば安全だとは思う。
でも、バーサーカーとか無視して突破しそうなのが来たら危険だろう。
「防御は出来てるから…万が一もあるだろうけど、朝っぱらからは来ないんじゃないかしら」
朝っぱらから聖杯戦争なんて、しないだろう。
目立ちすぎる。
「万が一が今起こる事もある。少しでも動けるようになっていただこう」
それは、アーチャーの実行をするという意味合いの言葉。
して欲しい、ではなくしろと言っているのだ。
もしくは拒否しても行うという意思表示。
「回復魔術なんて知ってるの?」
貧血の回復なんて、ある程度食べて寝てるくらいではないだろうか。
それ以外となると、回復魔術くらい。
続く