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6.赤

「赤い悪魔なんて失礼しちゃうわ」
それは、主である少女から零れた、独り言だった。
「ずいぶんと立腹の様だが…小僧に言われた事がそんなにきになるのかね?」
少女の従者たる赤い騎士は紅茶を注ぎながら主の独り言に返す。
「当たり前でしょう?可愛い女の子捕まえて悪魔だなんて…!」
少女は悪魔と言われたことが悔しくてたまらないと言う感じで怒っていた。
その様子を見ていた騎士は、少女から表情が見えないのをいいことに、声を殺して笑っている。
騎士は自分が発した発言で少女がこんなに怒るとは思わなかった。
いくら消したくて仕方ない過去の自分であっても、自分であることは変わらない。
いくら記憶が磨耗していたとはいえ、その単語には覚えがあった。
笑いを何とか押しとどめていつもの表情を作り、少女に紅茶を出す。
「それだけ君が怖かったのではないかな?」
「なによ、アーチャーまで私が悪魔だって言うの?」
紅茶を出しつつ、騎士はわざと少女が怒るようなことを言った。
想像通りの答えが返ってきたことに心の中で微笑みつつ、表情は崩さないままで少女を見つめる。
「魔術師としての恐れもあるのだろうが…
君の微笑みながらの怒りは優等生な君しか見てこなかったのならば恐怖だろうな」
「…アーチャー、それって優等生じゃなかったら悪魔にしか見えないって事?」
騎士の言葉にぴくぴくと反応しながらも、少女は紅茶を飲むことを忘れない。
口に含むたびに表情が和らぐが、怒りが勝っているのだろう。
緩んだ表情がすぐに怒りの表情へと変わった。
「そうではないが…まあ、小僧の中での認識が変わったことは確かだな」
少女の表情の変化を見逃さなかった騎士は心の中で微笑みつつ、少女の問いかけに答える。
怒りつつも自分の入れた紅茶で表情を崩してくれるのは嬉しいものだ。
もっとも昔の自分には出来なかったであろう芸ではあるが…


続く