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7.夜を往く
私は、確かに寒かったんだけど。
でも寒さなんかに負けて、この服装を止めるのはなんか癪だし。
だから私は上着を羽織っただけで出かけていた。
ここ数日間恒例となっている見回り。
誰が見ているわけでもないんだから、厚着したっていいような気もするんだけど…
いかに生身の人間じゃないとはいえ、アイツが側にいるんだもの、気を抜くことは許されない。
だっていうのに…
「そんな薄着で寒くは無いのか?」
寒いわよ、そんなの。
玄関先で掛けられた言葉に、私はドアに掛けた手を止めて、後ろにいるであろう従者に有無を言わせぬ視線を送る。
睨んだところで大人しくなるような性格してないと思うけど、怒りを伝えるにはちょうどいい。
「それは…寒いのは当たり前だ、聞くなという意思表示か?」
「プラス私の服装に文句をつけるなという意思表示よ」
呆れたような顔をして、彼は私を見下ろしている。
「寒いならもう少し上に着たらどうだ?そのスカートの長さも問題はあるだろうが」
「あのね、それらの考えをひっくるめてこの格好をしているのよ。言われなくても良く分かってるわ」
ちゃんと彼の方を見て胸を張る。
私だって年頃の女の子なのだ、おしゃれくらいはする。
ただ、今しかできない格好をしたいだけなんだから、放って置いて欲しい。
「だが…」
「なによ?」
「いや、君がいいというのならば止めはしまい。好きにするがいい」
言いかけた言葉を飲み込んで、彼は私の前を通り過ぎ、ドアを開けて外に出る。
何が言いたかったんだろう…?
釈然としないものの、私も後について外に出る。
しばらくは私一人の夜歩きでこなしていく。
深夜だし、何よりも人の気配が無いのだから、たまには隣歩いたって罰当たんないと思うけど。
そんな考えをしていたこと自体が私の気の緩んでいた証拠だったらしい。
新都の、例の公園でちょっと関わりあいたくない感じの二人組に声を掛けられたとき、
対応が遅れてしまった。
判断を下す前につかまれた腕。
二人ぐらいなら私一人でも対応できるけど、さすがに…どうしたら平穏に済ませられるか?
二人組はナンパしているらしい。
そりゃあ、学園一の美少女ですもの、そのくらいは…って、考えてる場合じゃない。
優等生の仮面をかぶって、丁重にお断りする。
言いくるめられて消えてくれないなら、仕方が無い…ガンドかなぁ…
そんな考えが過った時、ナンパの二人組は私の背後を見て用事が出来たとか、
彼氏いるなら言ってよとか、わけの分からないことを言って消えて言った。
「なんなのよ?」
素直な感想が言葉になって出ていた。
「それは向こうの台詞だろうな」
いつの間にかアーチャーは私の後ろに立っていたらしい。
それならさっきのわけの分からない言葉にも納得できる。
「見回りのときは出てこないんじゃなかったの?」
「私はおばけじゃないんだから、そういう言い方をするな」
心なしか機嫌が悪いような気がする。
気配がピリピリとしているというか…
「私が思ったことが現実になったな」
アーチャーは表情はそのまま、気配は最悪な状態で私に視線を向ける。
「思ったって…何を?」
「気がつかなかったのか、君は。今の二人組は君を押し倒すつもりだったぞ」
「ただのナンパでしょ」


続く