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8.ベアナックラー

それは、赤い悪魔と並んで不名誉な、称号。
可愛い女の子を捕まえて、そんな呼び方するなんて、士郎は何を考えてるんだろう。
「凛、どうした?」
「どうした、じゃ無いわ。士郎が私のことをベアナックラーだって言ったのよ」
ベアナックラー。
もちろん熊の拳ではない。
容赦ないとか、そういった感じの単語だけど…納得行かない。
「殴り倒したのだろう?そう呼ばれても仕方あるまい?」
うわ、もう…なんで楽しそうにそんなこと言うんだろうか。
「仕方ないって、女の子に殴られて倒れる方が弱いのよ」
慎二が倒れたりしなければ、そんなこと言われなかったのに。
ああ、思い出しただけでむかむかする。
「ふむ…それは、その呼び名が気に入らないのかね?」
「それ以外にあるの?」
「言いたくはないが…あの小僧に言われたことが嫌だったという可能性もあるかと思うのだが」
渋々とか、苦々しいとか言う感じの表情で口にする。
アーチャーはよほど士郎が嫌いなんだろう。
「違うわよ。誰に言われたって嫌だわ」
私はアーチャーの予想を否定した。
「さっきの発言も許しがたいんだけど」
「仕方がないといったことか?」
仕方がないということは、アーチャーが私をベアナックラーだといっているのと同じことだ。
士郎に続いてアーチャーまで、赦すまじ。
「だが、殴り倒したのは事実だろう?」
楽しそうな表情は消えたけど、皮肉を言いまくりそうなその表情はいただけない。
「そうだけど…」
「そのくらいでなければ聖杯戦争など出来ないだろう。ちょうどいいのではないか?君は時々甘いところがあるからな」
そこに繋げられると言い返せない。
命の取り合いなんだから、容赦なんてしていられない。
それは分かってるけど、これとそれは別の問題だ。
「それじゃあ、アーチャーは私に殴り飛ばされてもいいわけね?」
「出来るのならばな。だが…」
「なによ?」
どうしてこう、濁すような言い方をするんだろう?
「…容赦ない君も好ましいが、甘いところがある君も好ましいのではないかと思ってね」
「えっ?」
嘘ではないといった表情でさらりと言ってのけるアーチャー。
そういうことをそうやって言える所を見ていると、絶対に生前は女たらしだったに違いない。
そうは分かっていても、動揺する。
普段、君は甘すぎるとか言ってるくせに、こういう時はそれもいいとか言うなんて…
卑怯だ。
「どうした、凛?」
「な、なんでもないわよ!」
理由なんて聞かなくても分かってるくせに聞いてくる。
私をからかって遊んでる。
「その余裕のある態度がむかつくわね」
コイツ、焦ることがあるんだろうか?
「君より年上なんでね。仕方が無いだろう?」
「ただ先に生まれただけじゃない」
続く