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遠坂さんちの家庭の事情



うちは代々、世間に内緒で魔術師をしている。
だから私は普通の高校生として生活したい…んだけど。
コイツが外出たら普通の生活を送れないのよね…
「む?何かね」
私が頭を痛めている原因のコイツ。
元々は弓兵をやっていたからという理由で『アーチャー』とうちでは呼んでいるんだけど、
この、何か不満でもあるのか?と言いたげな表情をしているコイツが問題なのだ。
彼は遠坂の家に仕え続けているサーヴァント。
平たく言えば従者とか召使といったところなんだけど…
「朝御飯が出来たのだが…今朝はいつもに輪をかけて目覚めが悪いのかね?」
「ちゃんと起きてるわよ…アーチャー、また外に出て行ったの?」
「ああ、行ったが…それがどうかしたのかね?」
元弓兵、戦闘の能力に長けたサーヴァントのはずが、何を間違えたらこんなにも家庭的になってしまうのか…
「あのね…前から言っているけれど、家の中のことはしなくていいわよ。
今朝みたいに、ゴミ出しとかしなくていいから」
代々霊地の管理者をしているから戦闘に長けたサーヴァントを護衛として使役しているのだけれど、
彼はその役目以外のことをやりたがるから困っているのだ。
遠坂の魔術師が欲しているのは家政婦ではなくて、あくまでも戦闘に長けた従者なのだ。
もっとも、私は普通の暮らしをしていたいから、そういった事情は全て隠し通しているし、ばれる様な行動も取ってはいない。
家の事情を知っているのはほんの数軒だろう。
それなのに。
「君は朝が弱いだろう?私が出した方が確実に出せると思うが」
「余計なお世話よ。今までだってちゃんとやってきたんだから、出来るわ」
何だって戦闘用の礼装のままで外出ちゃうんだろうか。
いくらご近所とあまり親交が無いとは言っても、噂にはなってしまうだろう。
親交があれば訂正も聞くけれど、親交が無い状態で噂が一人歩きして…
最悪の場合、とんでもない情報が尾ひれよろしくついてしまった日には泣くに泣けない。
連れ込んだとか言われたらもう外に出られない状態になってしまう。
「だが、君は結構ドジな性格をしているのだろう?君の父君もそうだった」
厳格で厳しい、父親としてはどうなのかと思うような人だったけれど、魔術師としては優れた人だった。
そんな父さんが、ドジ。
にわかに信じがたい発言だけれど、遠坂の血筋は先天的にドジが付加されているらしいので、そうだったんだろう。
「それとごみ捨てにどう関係があるのよ?」
何時も通りに起こされて慌てて起きて来て、下に降りたらご飯が用意してあって。
そこは今は不問にするにしても、外に出るという行動は不問には出来ない。
「まず、ごみの曜日を間違える。そして、時間を間違える。はてには…」
「もういいわ」
朝頑張って早起きして、完璧にごみを出したと思ったら曜日が違ってたことがあるのは認めよう。
「学校に行くときに出していけば、まず間違いなく間に合うのよ。収集の時間も学校にも」
一人でだって、ちゃんと起きて学校に行っていたのだ。
魔術師だとばれない為に成績もきちんと維持している。
今の生活を手放す気は無い。
「ゴミ捨てをしたいというのなら止めはしない」
「ゴミ捨てだけじゃなくて、家事全般をやらないで。前から言っているけど」
「何故だ?出来ることをやって何故悪い?」
彼は私の言葉が分からないと言いたげな表情で私を見つめている。
「出来ることって言うのは、契約の時にあなたに託された内容のことよ。家事は入ってないわ」
この地における我が遠坂家は魔道の名門であり、管理者である。
狙ってくるものもいるし、変なものを寄せ付けやすい性質もあることから戦闘を得意としたサーヴァントを使役して護衛させている。

続く