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遠坂さんちの家庭の事情

9

あの学校での出来事から数日。
何故かランサーは家に居座っていた。
あまりの落胆振りにアーチャーが声をかけて、連れて帰ってきたのは…まあいいとして。
問題はその後だった。
遠坂の家に着き、紅茶で一息入れた後…ランサーは心のうちをぶちまけたのだ。
私ではなくアーチャーに。
始めは仕留め損ねたことへの自己嫌悪だったが、次第にマスターへの不満になり、最後にはアーチャーに絡んでいた。
お酒が入っているわけでもないのに絡まれたアーチャーは迷惑そうにしながらも話を聞いていた。
「ねえ、ランサー」
「なんだ、嬢ちゃん」
「その呼び方止めてよ。私には遠坂凛って名前があるんだから」
「分かった、じゃあ凛」
呼び方を改めてくれるのは嬉しいけど、アーチャー以来の呼び捨てにちょっと戸惑う。
「んー…まあいっか。それよりあなたって戦闘時とは全然違うのね」
戦いの最中の印象と、今の印象は猫と虎くらい違う。
犬と狼でも良いけど、さっき負け犬っぽいと言ったら反応していたから犬というのは止めておこうと思ったのだ。
「まあな。命の取り合いもあるが…根っからの戦い好きもあるんじゃねえかな」
「そう…アーチャーはあまり変わらないわよね」
変わるとしたら衛宮君絡みの時くらいだろう。
私の隣で紅茶を飲んでいたアーチャーはそうかね、と一言呟いて首をかしげた。
「あんたはいいよな、アーチャー」
しみじみとランサーが呟く。
「何がだ?」
ランサーの言葉の意味が分からなかったアーチャーは眉間にしわを寄せて聞き返す。
「決まってんだろ、マスターだよ。俺も嬢ちゃんみたいなマスターが良かったなー」
やはり私を名前で呼ぶ気はないらしく、呼び方は元に戻っていた。
「そりゃあ、会うのがもう数年遅けりゃ良い女になっていそうなのはあるんだけどよ」
よほどマスターに不満があるんだろう。
ことマスターの悪口には饒舌になっていた。
「そんな風に話しているとマスターに筒抜けじゃないのか?」
通常はレイラインで繋がっているのだから、聞えたりもする。
こんだけリラックスして話していたら筒抜けだと思うのだが。
「ああ、それは大丈夫だ。無理矢理契約したマスターだからな。レイラインは不完全な繋がり方してるから、聞えねえよ」
意外な回答が帰ってきた。
通りで話しまくるわけである。
「嬢ちゃんみたいなマスターだったら守りがいあるし、騎士としてはやっぱりマスターは美姫がいいよな」
だから野郎は嫌なんだと損底嫌そうに付け足してランサーは溜息をついた。
男のマスターに男のサーヴァントとは色気のない…もとい、花のない組み合わせである。
聞いたところだと女好きっぽいランサーにとってはそれだけでも耐え難い状態なのだろう。
「んで、アーチャー嬢ちゃんとはどこまで行ってんだ?」
「その問いは私と凛を侮辱しているように聞えるんだが?」
ランサーの興味本位な問いかけに、アーチャーは絶対零度の無表情で答えた。
私とアーチャーがそういう関係ということはありえない。
アーチャーにとって私は代々続いたマスターの一人に過ぎないだろうから。
それに、生まれたときから知っている相手だし。
保護者の気持ちが強くて、あいつはきっと私をそうは見てくれないだろう。
もっとも、私はちゃんと私と向き合ってからのアイツしか知らないから…
何と言うか、アイツ以上にいい男じゃないと付き合えないような気がするんだけど。


続く