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遠坂さんちの家庭の事情

11

教会へと続く坂道をトボトボと歩いていく一行。
傍から見れば奇妙なことこの上ないけれど、仕方が無い。
まあ、アーチャーとライダーは霊体化しているので見えないから、見えているランサーさえ誤魔化せれば大丈夫だろう。
「僕は令呪を捨てる気なんて無いぞ」
未だに慎二は強気でいるけれど、そう言う度にランサーから睨まれて黙っている。
「丁度いいわ、衛宮君。綺礼に会って、このシステムや聖杯戦争の話を聞いてきなさい。あなたのことだから、何も知らないんでしょう?」
「ん?ああ…綺礼って言うのは教会の神父のことだろう?何で神父から聞くのさ?」
「教会側の監視役なのよ。基本は私がやっているからいいけれど、私も聖杯戦争に関わってしまうから…
言うなれば完全なる第三者の監視者ってとこからしらね」
「それ、魔術協会じゃダメなのか?」
「聖杯っていう名がつくものは教会は放っておけないのよ。だから、教会の神父が監視者に派遣されるの。
魔術協会は毎回魔術師を送り込んでくるから完全なる第三者じゃないし」
衛宮君に事情を話しつつ坂道を登る。
「なあ、一つ聞いていいか?」
「何?綺礼に聞いて分かることなら…答えないわよ?」
「聖杯って、あの聖杯だろ?何でそんなものがここにあるんだ?」
それは、それを当たり前のこととして受け入れていた私には盲点となることだった。
どこから話すべきだろうか。
「話すと長くなるけど…いい?」
この地にある聖杯は、始めから有った物ではない。
「二百年前…根源の渦に到達することを悲願とした魔術師が三人いたの」
それは、あまり遠くは無い昔の話。
「土地の霊力と、作り上げたシステムでそれを可能とするものを作り上げたのよ」
でも、そのシステムや基盤には色々な制約、落とし穴があったんだけど。
「それが、聖杯ってわけか」
「そう。だけど聖杯っていうのはそれだけで人の手に余る。それに、ここにある聖杯は器だけなの」
魔力に満たされた完全なる聖杯がここに作られていたとしたら、まず教会は放置しないと思う。
奇跡を起こす聖杯は教会の聖遺物として秘匿されるだろうから。
「器だけ?」
「さっきいったでしょう?それだけで人の手に余るの。だから、器だけ用意したのよ」
そこまで説明したところで、教会が見えてきた。
「あとは綺礼に聞いてね。その後で分からなければ補足してあげるから」
本当は一から十まで説明してあげてもいいんだけど、衛宮君は甘いところがあるから容赦ない綺礼の言葉で目を覚ましてくれるといいんだけど。
建物が見えて、いよいよ着くぞ、という時になってランサーが足を止めた。
「ランサー?どうしたの?」
その表情は暗く、全体的に教会には入りたくないと物語っている。
「いや…俺はコゾウを連れてきたから、ここまでだ。後は嬢ちゃんに任せる」
「え?ちょっと、ランサー?」
入れ替わりで現界したアーチャーが慎二を掴むと、ランサーは夜に解けるように消えていった。
「どういうことよ…?」
私にはその理由が分からなかった。
聖杯戦争の監視役なら、危険を感じることも無い。
まあ、綺礼の場合は違う意味で嫌だろうけど。
気持ちは分かるので、追いかけることはしなかった。
今度こそ中へ入るために扉を開ける。
しかし…教会だっていうのに、なんだってここはこんなにも禍々しい気を放っているんだろう?
やはり管理者に似るのだろうか。

続く