「その客って、色黒で白髪で銀色っぽい目をしてない?で、無駄に存在感がある」
「はい、そうです」
何で分かったのかと言いたげなほどに驚いた桜の顔を見て、確信した。
「家から出るなって言ったのに…」
「え?」
私の本心の囁きに、桜が怪訝そうにしたけれど今は構っている場合じゃない。
「呼びに来てくれてありがと。来たのがあなたで良かったわ」
これも本心。
養子に出ているとはいえ、血を分けた実の妹。
それに変な噂を撒いたりはしないから、安心できる相手だ。
変な噂を撒かれる前に追い返してしまわないと。
「ああ、来たか」
予想通りのそいつは、学校にいるというのに無駄に存在感があり、悪目立ちしまくっていた。
「外に出るなと言ったでしょう?」
「ああ。だが、君が昼食を忘れていったのでね。届けに来た」
悪びれる様子もなく言ってのけるアーチャー。
「あのね、忘れたって困らないのよ。購買だってあるんだから」
気配くらい薄めてこいと言いたいところを我慢して、追い返す術を探す。
「サンドイッチを買う気だろう?それでは栄養が偏る。君にはマスターである自覚が…」
私の言葉に反応して、倍以上の言葉を返そうとしているアーチャー。
言わなくていいことまで口走りそうなので、アーチャーの腕を掴むと問答無用で弓道場の裏まで引っ張ってきた。
「言葉を慎みなさい、ここは学校なのよ」
昇降口よりかは目立たなくて済むはずだ。
生徒の行き交うような場所でマスターだのサーヴァントだの言われた日には
どうやって誤魔化そうとすればいいのかと考えるだけで途方に暮れてしまう。
自分の外見がどれくらい目立つのか分かってるんだろうか、コイツ?
「まあ、要らぬ事を話すべきではないことは分かっているよ」
私の睨みにも動じることのないアーチャーは、それでもさすがに目立ったことが分かったのか、素直に謝った。
「軽率な行動だった。それよりも…」
言いかけて、アーチャーは私の後ろに視線を止めたまま動かない。
怪訝に思いながらも振り向くと、そこには…
「遠坂?何やってるんだ?」
衛宮士郎が立っていた。
それも、私以上に険しい顔をして。
続く

次回予告
初対面なのに何故かことごとく反発しあう衛宮とアーチャー。
見守るしかない凛が、事態収拾の為に取った方法とは?!
次回、衛宮VSアーチャー、凛に怒られるの巻!
乞うご期待!(←嘘です。こんな内容の予定はありません・笑)