「なるほど…ですが、それは技ですね?宝具は分からないのですか?」
それは最もな問いだった。
「そんな話は聞いたことないわ。あえて言うなら、その物干し竿って言う剣が唯一聞いたことのある彼の武器だけど」
宝具と言えるほどの武器は彼にはない。
それを考えると、一体どの辺が英霊なのかも分からないのだけど。
「英霊たる象徴がないというのですか?」
「そもそも佐々木小次郎という剣士には英霊たる要素がないのよ。アサシンに該当するような能力も聞いたことないわ」
むしろ彼はセイバーと同じく、真正面からの勝負を好むタイプだったと思う。
でなければ、決闘の時刻に大幅に遅刻した武蔵を怒ったりはしないだろうし。
そういう意味では武蔵の方がよっぽどアサシンぽいけど。
私から彼の情報が引き出せないと悟ったセイバーは、正面から彼を切り伏せようと行動を開始した。
幸い周りはほぼ山。
最悪の場合、宝具を使っても一般人の被害は最小限にとどめられるだろう。
というか、一般人の被害はなさそうだけど。
なんにしろ、セイバーが正面から勝負を仕掛けたら私にすることはない。
見守るしか出来ない私はその時はまだ気づいていなかったのだ。
境内で起きている予想外の展開と、奇想天外の事態に。
続く