姉さんにも話していない事…それを話すきっかけがつかめなくて、今まで来てしまったことを後悔してる。
時々、自分じゃない考え方をしている時があるんです。
ライダーにも気づかれないようにしているけれど、その時が増えればきっとばれてしまう。
怖いんです、自分の考えが。
邪魔なら消してしまえばいい、何て考える自分自身が。
どうしよう先輩。どうしよう姉さん。
あのヒトに会ってから、私…感情がコントロールできない時があるんです。
今は抑えてるけど、いつか…遠くないうちにコントロールできなくなって、誰かを傷つけるんじゃないかって…
それが怖くて…怖くて…心配なんです…

眠り続けているイリヤスフィールは置いておくとして。
明日、学校に柳洞君が来たら衛宮君が家のことをそれとなく聞いてみるということでまとめた。
早朝から乗り込むという案もあったけど、寺の人達がいつも通りの日常を送っていたら迷惑になるだろうという意見を汲んで、そこにたどり着いたのだ。
それ以前に柳洞君が来なかったらその時点でアーチャーとライダーに向かってもらうけど。
柳洞寺のサーヴァントが全ていなくなっていたらその時点で二騎消滅という事になる。
バーサーカーを含めて三騎。
本来の数なら味方の数を除けば残るはランサーのみ。
だけどその当のランサーは姿が見えない。
最も、ランサーよりも金ピカの方が問題なんだけど。
いっその事、教会を法具で攻撃しちゃおうか?
それが手っ取り早い気もするけど、止められるのがわかっているので止めておく。
「んじゃ、帰るわね。あなた達も休んで、体力蓄えておいてね」
「ああ、遠坂もしっかり休めよ」
食事の頃から静かだった桜は特に休養が必要だろう。
私の言葉に頷いて、姉さんもお気をつけてと言ってくれた。
玄関を出ると現界するアーチャー。
「凛、一ついいかね?」
「桜のこと?」
門を出て公道を歩き始めた私に声をかけるアーチャー。
聞いてくるだろうとは思っていた。
「ああ。君はさっき黒化といっていたが…」
「ええ。実際には名称があるかどうか分からないけどね。普通の桜が白とするなら、精神面が反対側…黒に近づくから黒化」
「アレは…成長すると大変な事になるだろう」
「それはサーヴァントとしての勘?」
「まあ、そんなものだな」
表情は険しく、その勘がどれほど絶望的なのかを物語っていた。
「正直あれが、間桐の術のせいなのかは分からないんだけど…きっと間違いないと思うわ」
私が乗り込むまでの間に、何かあったのかもしれない。
きっと桜のことだから、心配かけまいと言わないんだろうけど…
「今のところは制御できてるみたいだけど…一時的に感じたあの魔力の膨張は半端じゃなかったわよ」
金ピカが塀の上に立っていたあの日、表面上はなんともなかった桜。
だけど、一瞬感じた殺意とも取れる感情と膨大な魔力の渦は私の感じ間違いではない。
無自覚かどうかは分からないけど、感情が揺れ動くと偏るようだ。
「なんにしても、柳洞寺を調べないと先が決まらないわね」
まだまだ山積みな先を考えて、少し疲れた。
「そうだな…このまま、終わればいいが…」
珍しく歯切れの悪い言葉を発して黙るアーチャ−。
どうやらコイツも疲れ気味なようだ。
「さっさと帰って休みましょ、アーチャー」
「ああ、そうだな」
帰って紅茶を淹れそうだけど、それはそれでアーチャーが落ち着くのなら付き合おう。
頭使いすぎると糖分が欲しくなる…でも夜だしなー。
そんな事を思って家に帰ったら、出てきた紅茶はキャンブリックティーだった。
しかも蜂蜜大目。
どこまでもまめ、かつマスターの状態を正しく把握しているサーヴァントなのであった。
嬉しいんだか嬉しくないんだか…

キャンブリックティーとは、簡単に言うのなら蜂蜜とミルクの入った紅茶です。
紅茶好きな凛なら知ってそうだったので出してみました。
個人的にはロイヤルミルクティーが好きです。
作るなら水は入れずに水分は牛乳のみが基本です。
茶葉とかの好みは特にないのですが、ミルクティーならキャンディとかアールグレイが好きです。
凛はどれを飲んでるんでしょうね?
きっと特級のダージリンとかアリヤとか…?
ストレートはケニルワースが好きな私はとても安上がりな人間です(笑)。
続く