遠坂さんちの家庭の事情

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結果は、はっきり言ってゼロだった。
午後の授業なんて、すぐ終わってしまう。
考える時間なんて無かったのだ。
帰り支度を整えて教室を後にする。
廊下に出ると生徒会長と衛宮君が前を歩いていた。
鞄が無い所を見ると、この後も備品直しの手伝いをするのだろう。
お人よしというか、何というか。
ほんと、桜の言うとおりの性格をしているんだな。
階下へ向かおうと階段の手すりに手を掛けた時、違和感を感じた。
上の方…屋上辺り。
まるで、何かがいるかのような…、そんな違和感。
「まさかとは思うけど…」
ここ最近、サーヴァントの召喚が相次いでいるらしい。
綺礼からの情報。人格は偏っていても、でも情報はまあまあ正確だ。
危険だと判断したらアーチャーを呼ばないと。
レイラインに魔力を通して、アーチャーとのラインを繋ぐ。
私から魔力が行っているのだから、アイツも非常事態だと気づくだろう。
もしも最近の事件を起こしている犯人ならば、管理者として何とかしないといけない。
気を引き締めて、屋上を目指す。
まだ学校内に人が残っているから、相手も大きくは仕掛けて来れないだろう。
まあ、無差別テロみたいな行動できる魔術師が相手なら別の話だけど。
『凛、何が起きた?』
ラインを通して声が聞えてくる。
『よく分からないけれど…多分サーヴァントが召喚されたんだと思う』
一歩一歩階段を上りながら、緊張は高まっていく。
感じた通りに屋上にはマナが満ちているようだ。
でも、屋上で召喚って?
心当たりの召喚者はいないんだけど。
学校に魔術師は私以外にもいる。
でも、屋上にいるはずが無いのだ。
考えながら階段を上って、とうとう扉の前まで来た。
ドアノブに手を掛ける。
魔術刻印にも魔力を通して、すぐにガンドを撃てる様にする。
用意は整った。あとは…
目を瞑って、深呼吸。
「…よし」
扉をバーンとまでは行かなくても、開け放った。
「どうしたんだ、遠坂?」
そこにいたのは担任の教師と…
「お会いしとうございました」
召喚されたであろうサーヴァント。
「…え?と…」
サーヴァントというよりは、押しかけ女房的な雰囲気が強いんですけど?
「葛木先生、そちらは?」
敵意はなさそうなので、聞いてみることにした。
もっともこの担任の場合、敵意は無くても攻撃できそうな雰囲気はあるけど。
「ああ、彼女か?彼女は…」
「初めまして、宗一郎様の妻のメディアです」

続く